おごってください by フラスコ先生
ウチの学生さんは、お勉強のできはとりあえず別問題(ぇ)として、こんな時代でもいまだに、基本的に素直でいい子が多いです。
ここんところ、とんでもない連中への対応が続いて疲れ果て、すっかりヤサグレ先生になっているoptical_activityですが、それでも、圧倒的多数の子はいい子だということを忘れてはいけません。
最近の若い世代の素直さは、お礼の言い方に現れている気がします。
彼等彼女らは、かなりはっきり堂々と、「ありがとうございます」を言ってきます。
私らくらいまでの世代では、先生相手ではどうしても、感謝した時は一歩下がって恐縮しながらお礼を言いがちですが、今の子たちは先生如きには怯まない(苦笑)ので、逆に幸いしてまっすぐお礼を言ってきます。
どう考えても「ごめんなさい」を言うべき場面では、言っちまうと自分の非を認めて不利になるからと黙秘権を行使しまくる、おーべいかおへーいかな彼等彼女らですが、「ありがとう」だけはタイミングを外さず逃さず漏れなく言ってきます。
むしろ、免罪符のように、言い過ぎなくらい言ってくるときもあります(苦笑
まあ穿った見方をして悪く言えば、ずうずうしいっつーたらずうずうしい、ちゃっかりといえばちゃっかり、したたかっつーたらしたたかではありますがね。
それが若さってもんですよ(年寄り発言
奥底に秘められたその本心はさておいて、コレはなかなか本人たちに巡り巡っていいシステムだったりします。
お礼言われて悪い気するニンゲンはいませんし、相手が喜んでみせるとこっちも嬉しくなりますから、たったこんだけの言葉で先生は君たちの多少のぶしつけさも水に流して、逆に明日への励みにしてしまったりします(苦笑
そして、彼等彼女らが一番心底喜んでお礼を言うのは、ひょっとすると成績のことよりも、実は食べ物関係だったりします。
学生さんは若いのでいつもお腹を空かせています。
研究室にやって来た学生さんに、用意していたお菓子を勧めると、「まじすか、やったー、あざーっす」と大喜びでどっさり持っていきます(笑
飲み会すると、見ている方が気持ちいいぐらいにどんどん注文して食べておいて、お会計になってから「お金足りるかな」と心配し(こら、気付くの遅い)、足りない分にこっちが余計に出すとみんな揃って本気で大喜びしてくれます(笑
大学行事のバイトをつのると、下手するとバイト代そのものよりも、お昼のお弁当が出ることの方に「やったー、ごはんだぁ」と喜んで美味しそうに食べます(笑
それでこの不況です。
学生さんの中には、食費を浮かせつつお腹いっぱいになろうと、いろんな方法を考えるのが出てきます。
暫く前に学生と話をした時、「ドコゾの食堂は、値段の割に量が出て、揚げ物が多くて、揚げ油も古いの使ってるから、カロリー取るのにはお勧め」みたいな情報交換をしていたので、いくらカロリー確保できてもその食生活大丈夫かなあと心配になったことがあったんですが。
ついに最近は、学生同士の親睦を深めるための飲み会企画しても、会費が払えないからと、はじめから参加を断る学生が出てきましてね。
そんなとき、ウチのボスなんかは、「おま、会費は新入生価格にしてやる、久しぶりにうまいもの食わせてやるから出てこい」と強引に引っ張り出して、自分が代わりに余分に払ったりします。
あ、ちなみにウチの大学、ボス職でも月給たいして貰ってませんです。
お腹空きやすい若いヒトが、お金なくてご飯を我慢している、こんな悲しいことはありませんよ。
ウチの親がそうだったように、たぶん、どこの親御さんも、親元離れて学生やってるわが子に連絡を取る時の第一声は、「元気してる?最近調子どう?ちゃんとご飯食べてる?」だとおもうとです。
その返事として、「ああもう、元気してるし、ちゃんと食べてるから、大丈夫だってば」がデフォルトなんですが、本当は食べてないのに親に心配かけまいと嘘付いてんのだったら、こんな切ないことはありませんわ。
衣食足りて礼節を知るといますが、血糖値が低すぎては素直なお礼すらも言えないかもしれません。
先生は、君たちの、食べ物を前にして、素直通り越して半ば脳天気なくらいに明るくちゃっかりした、お礼の言葉を聞くと、若干あきれると同時に元気を分けてもらってる気がします。
君たちがこれからも「わーいお菓子だ、ありがとうございまーす」と元気にお礼を言えるよう、せめてもの血糖値の足しに、お菓子ぐらいは用意しておきますよ。
だもんで、学生じゃなくて先生が「私のためのお菓子だ」とか正面切って抜かすのに軽くむかつくのはこのため、というのは、エントリ違い。